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おだやかな日々に

なくてぞ人は 16

マーガレット
長い療養生活から解放され、ようやく兄の普通の生活が始まった。二人目の女の子にも恵まれ平和な家庭生活を楽しむ兄であった。昭和49年頃の歌である。
 
 のびやかな男の童吾に無しかなしもよ夕雲の東へなびく
 鋸を使ふ女の傍を見て過ぎにけり「あれでは切れぬ」
 土筆ん坊間だ出て来ぬ田の畔にて吾が手に余る野の蕗、蕗の薹

当時の空は大きかった。夕雲は壮大に地平線まで続くかとも思われた。学校帰りに見た夕焼けの雲の帯は終生忘れられない絵である。
兄は良く土筆を摘んで持って来て呉れた。土筆料理は母のものよりも兄嫁の方が美味であった。

 ウルアングスト幼きより持ち今に続く年を経るなべ鈍くなりつつ

ウルアングストとはなんじゃい?ドイツ語かい?何方かご存じの方は教えて下さい。何となく分かる気はするのですが。

上野に絵を見に来るゆとりもあったようだ。兄の絵は下手だったが鑑賞するのは大好きだったとみえて、「みずえ」等という絵の雑誌を良く見ていた。
 おだやかな光の中に並べあり華麗なるルノアールと粗野なるゴーギャン
 ロダン「花子」の像を作れり鼻低く口尖りたる日本人の顔
 夏暑き芝生の中に立ちつくすカレーの市民の黒き群像

今日も小雨の中で彼らは立ちつくしている。
 

 
 
  1. 2006/05/23(火) 16:03:34|
  2. 短歌など
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

雲さん、お体はいかがですか?
日曜日の歌評会、4ヶ月ぶりに参りましたよ。
歌会に出れるということが、すばらしい!

ウルアングスト?もですが、年を経るなべ
なべ? 鍋? ん?
  1. 2006/05/23(火) 17:34:10 |
  2. URL |
  3. chitetsu #-
  4. [ 編集 ]

鍋、なべ・・・

chitetsuさん、歌評会、4ヶ月ぶりでしたか?
大怪我をなさいましたのに驚異的な回復で、本当におめでとう御座います。良かったですね。私はサボってばかりの上に腰痛でお目に掛かれず、まったくもって残念でした。

「なべ」ですが、伊藤左千夫の歌に
 けならべて雨ふるなべに亀井戸の藤波の花散らまくをしも
があります。~にしたがって、つれて・・・というような意味でしょうか。もう古くなった歌ことば?今では殆ど使われませんね。
意味、違ってたらゴメンナシテm(_ _)m
そういえば今年の藤ももう散りましたねぇ。
  1. 2006/05/23(火) 21:59:24 |
  2. URL |
  3. 雲 #-
  4. [ 編集 ]

人のいとなみ

お兄様のおだやかな日々を読むことができて、ほっとしています。小さな花、夕雲を見、つくしを摘む暮らしを大切にいとおしんでおられたのですね。49年かあ、私は何も見ていなかった気がします。ミニスカートが流行りだした頃かしら。
  1. 2006/05/24(水) 07:13:18 |
  2. URL |
  3. ワカメ #gGsLOqyI
  4. [ 編集 ]

ウルアングスト自体は分からないのですが、Angstというのは実存主義哲学のひとつの概念でハイデッガーやキルケゴールという人たちの著作に出てきます。Angstは「不安」が直訳だと思います。多分お兄さん方の時代の学生はハイデッガー等が必読書だったと…。
で少しばかり。ハイデッガーのいう不安とは(あくまでも私の曖昧な記憶ですが)人がいずれは己も死すべき存在であるということに気づいた時に持つ漠然とした不安をさします。つまり死というものが対象として確固たるものでない、つまり恐怖の対象としてたとえば猛獣といったもののように具体的ではないし、あるいは概念としても天国や地獄のように明確でない、にもかかわらず必ずやってくる死。その不安によって人間は完全なものでも無限なものでもないと知り、それを知ることをとおしてものを深く考えるようになり、またはよりよく生きようともする、とかなんとかかんとか。また、キルケゴールのいう不安とは「自由」等の形があるようで実はないものに対する恐れのことであり、その不安を持つか持たないかでは人生の意味合いが違ってくる、とかなんとか…。
へへ、私、学生時代アルバイトばかりしていてお兄さんみたいにちゃんとお勉強できてないです…。しかも私第2外国語はフランス語だったし(いや、フランス語もできませんけど ^_^; )
多分、雲さんがなんとなくわかっていた感じでいけてると思います。
  1. 2006/05/24(水) 18:10:40 |
  2. URL |
  3. take #5RIkxCRk
  4. [ 編集 ]

ミニスカート

わかめさん、コメントをありがとうございます。
昭和49年と書かれた次ぎの項に「妹の結婚」というのがありまして、暖かき秋日の今日を嫁ぐ汝の洋装の胸に匂ふカーネーション なんていうごく平凡な歌が載ってます(*^_^*)
49年にはわかめさんが仰るように私も既にミセスとなってミニスカートを穿いておりました。編集があちこちしているようで(^^)
子育ての真っ最中でしたね。
  1. 2006/05/24(水) 21:14:21 |
  2. URL |
  3. 雲 #-
  4. [ 編集 ]

Angst

takeちゃん、色々教えて下さって有り難う御座います。多分そういう事でしょうね。旧制の高校生達何しろデカンショに浸かって青春を過ごしたんですものね。Angstは「不安」と解すればすっきり分かります。ウルは接頭語がなんかでしょうか・・生きて居るときにはこの歌集をちゃんと読んだ事がなかったのですよ。それにしても、何かにつけてtakeちゃんは凄い! 今度の特別歌会の短歌に期待してます。有り難う御座いました。また宜しくお願い致します。
  1. 2006/05/24(水) 21:23:59 |
  2. URL |
  3. 雲 #-
  4. [ 編集 ]

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