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おだやかな日々に

なくてぞ人は 18

夕日
 親友への思い出はそのまま兄の青春の思い出へと続く。
 君と共に聞きしフォスターのメロディが時雨の音とまぎれし幻
 赤松の高きが庭に立つ屋敷床は良寛一行の軸
 旧制高校二年の吾は朴歯の下駄はきて満州朝鮮を旅す
 新京と言ふ新しき満州の首都のあはれなる裏町も見き
 城壁のいたく高かりし新京城と言へる旧長春の大陸的城郭
 
このあたりは土屋文明先生の名歌があるので、ちょっと困る。
大連に親戚が居り、兄がそこの泥棒市で写した写真があった。
何でも、盗まれた片方の靴がそこに行くとちゃんと売られているのだそうだという話を聞いて、とても面白く思ったものだった。

五十一歳になった兄は青春を懐かしみつつ、現実の歌をも綴って行った。
 収入の多寡もつづまりは才能なり働きて働きて飲む酒うまし 
 感鮠を釣らむと遠く山峡の清き流れに今日も吾が来つ
 白髪混じりとなりたる吾を十歳の吾子がぢぢいと悪口叩く
 藪枯、石蕗、虎杖もうひとつ手に負へぬ庭の性強き蔓草
 獣は体臭を誇示し呼び合へりけだものを脱したる人間の体臭

私がアララギ時代にこの歌集を読み、このあたりから初期の歌と比較して変化して来たと思った。当時は初期の歌の方が洗練されて良かったように思った。それは、先生の選を得た歌であったからかとも思った。


 
 
  1. 2006/05/28(日) 22:13:09|
  2. 短歌など
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

生き生きと

 こんな風にして、実の妹の細やかな暖かい筆致で描いてもらえる日をお兄さまは想像もされなかったでしょうね。きっと喜んでいらっしゃるわね。
 楽しみに読ませて頂いているんだけれど、お願いがあるの。
短歌のところは文字に色をつけてくださると、すごく嬉しいんだけど...
 
 
  1. 2006/05/29(月) 14:14:11 |
  2. URL |
  3. サイコ #-
  4. [ 編集 ]

お兄さまの歌をとおして雲さんの思い出もどんどんたぐり寄せられ、書いているうちに生き生きと場面が浮かんでくるのでしょうね。
今日は書棚の写真を見てちょっと笑いました。(ごめんなさい)雲さん、今月の私の歌を見ていただけました?
 本棚は縦も横も隙間なくぎゆうぎゆうとして申し訳なし
 約束の場所までただに走るとき不思議の国のアリスとならむ  三日月
まさかこの詰まった本棚でアリスに会うとは…偶然は面白い(^^)/
  1. 2006/05/30(火) 14:03:06 |
  2. URL |
  3. take #5RIkxCRk
  4. [ 編集 ]

はいはい

サイコさん、コメントをありがとうございます。
そういえばサイコさんは綺麗に色文字を使っていらっしゃいますね。次回からはやってみましょう。短文と短歌、散文的短歌と短文だとややこしいかもね^^;
  1. 2006/05/30(火) 21:42:09 |
  2. URL |
  3. 雲 #-
  4. [ 編集 ]

夕日のアリス

takeちゃん、コメントをありがとうございます。
おんやぁ~~。
勿論今月の短歌拝見しましたよ!その時、おっ、家と同じだぁと思ったの。ひょっとして潜在意識にそれがあってあの画像?
でも、マサカアリスちゃんがあそこに潜んでいたとはねアハハでした。殆どが乱読家の同居人がタバコと一緒に買って来た本です。最近はすぐそこにブックオフが出来ちゃったので、まずい!もう入れるとこ無いですよ^^;
  1. 2006/05/30(火) 21:49:34 |
  2. URL |
  3. 雲 #-
  4. [ 編集 ]

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