おだやかな日々に

もきっつぁんの山形 4

聴禽書屋 いよいよかねてから訪れたいと思っていた聴禽書屋にやってきました。先ず隣接の町立歴史民族資料館に入りました。「斎藤茂吉短歌展~赤光から小園まで」がテーマの展示でした。こじんまりした館内を、一巡り。
 聴禽書屋は茂吉が昭和21年2月1日から仮住まいをした二藤部右衛門家の離れです。離れと聞いていましたし、写真などで想像していましたが、思っていたよりも立派な家で隅から隅まで昭和の匂いに充ち満ちておりました。二階のすり切れた畳のへりは当時のままと聞きました。茂吉はこの二階で絵を描いていたそうです。
窓から
みしみしとする階段を上ってその二階に上がりました。とても清々しい眺めです。赤い紅葉の向こうに見えるのが二藤部家の母屋です。お風呂が無かったので、茂吉は母屋までお風呂をもらいに通ったという話を聞きました。今は新緑の美しい季節なので、気持ち良い住まいと思いましたが、雪が多いという大石田のこの家の冬を想像すると、戦後間もなく、不自由で暖房も無い時代の事とて、さぞかし寒さが身にこたえた事でしょう。

白き山
母屋から目を逸らすと、桐の花の向こうに雪の消え残る山が見えました。茂吉が詠った白き山でしょうか。冬の間は真っ白になる事でしょう。

オキナグサ
 聴禽書屋の庭に咲いていたオキナグサです。昔はあたりに沢山咲いていたけれど、段々少なくなってきました。でも、ここの庭には沢山咲くのですと、管理人の女性が話して下さいました。
 われ世をも去らむ頃にし白頭翁いづらの野べに移りにほはむ  (白き山)
茂吉ゆかりの場所でオキナグサに出会えて幸運でした。


庭に歌碑が建っておりました。
 蛍火をひとつ見いでて見守りしがいざ帰りなむ老の臥所に
花
最後は虹ヶ丘公園です。山を登ってゆくと山ツツジやうつぎが咲いて居りました。


わらび?
これはわらびではありませんか?
そして、向こうに展望台が見えて来ました。
そこからの景色は素晴らしいの一言に尽きました。
最上川絶景
 最上川遠(とほ)ふりさくるよろこびは窈窕少年のこころのごとし
                              (白き山)
「窈窕(ようちょう)」について、加藤淑子氏の「茂吉形影」に次のような記載がありました。
『この歌では「窈窕」は少年の柔軟な信条を云ってゐる。
杜甫詩集は疎開の荷の中に入れられ、金瓶村で暮らしはじめた頃読み手抄した。昭和二十二年新春の最上川を、六十六歳になった感慨をこめて遠望した歌を推敲中に、以前手帳に手抄した杜甫の句が思ひ出され、原作の下句を「窈窕少年のこころのごとし」と改め、歌は一気に平凡を脱し完成したと思はれる。杜甫の詩の句とはいふものの、「窈窕」は詩経以来東洋の美しい古典語で、この一首はその活用例であろう。』

推敲前の下句は「六十六歳の吾ならなくに」「いまだ老いざる吾のごとしも」であったそうです。
最上川絶景2

 山を下る途中の歌碑には、
  最上川の上空にして残れるはいまだうつくしき虹の断片(白き山)
というため息が出るような歌が彫られておりました。
この日最高の最上川でありました。






  1. 2012/06/08(金) 15:25:48|
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:9
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コメント

ため息...

特に最後にある歌、なんとも美しいですね。
「好きな短歌、俳句」という収蔵庫にコピペさせて頂きました。
短くても濃厚な旅、写真も本当に素敵です。
  1. 2012/06/10(日) 22:46:58 |
  2. URL |
  3. サイコ #ZeC0G1NE
  4. [ 編集 ]

北杜夫の「茂吉晩年」には大石田の二藤部さんの離れの生活のことが詳しく出てきますので興味深く写真を眺めました。
おきな草、こんなに群生しているのははじめて見ました、賢治の童話にもある花を見せてくださって有り難うございました。
  1. 2012/06/10(日) 23:58:29 |
  2. URL |
  3. わかめ #gGsLOqyI
  4. [ 編集 ]

サイコさん、わかめさん、度々コメントを有り難うございます。
サイコさんの「好きな短歌、俳句」収蔵庫に滑り込んだもきっぁん流石ですねv-221

北杜夫の「茂吉晩年」、もう一度読んでみたいと思います。
短歌の友人から拝借して読んだ斉藤由香さん(北杜夫のお嬢さん)の「猛女と呼ばれた淑女」も別の角度からの表現でとても面白くかったです。
  1. 2012/06/11(月) 13:48:01 |
  2. URL |
  3. 雲 #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

ああ月山~

この頃どういうわけだか余裕がなくて、みなさんのブログに、とんとご無沙汰してしまっていたら、あらなんと! 山形へいらしてたんですね\(^^)/ あやうく見のがすところです!!
私も鳥禽書屋に行ったときはなんともいえない感慨があったし、月山が見えたときはほんとに嬉しかったです。ああ山形の蕎麦また食べたくなりました~。雲さん。素敵な景色をありがとうございます。 山形サイコー(^^)
  1. 2012/06/11(月) 13:56:03 |
  2. URL |
  3. take #5RIkxCRk
  4. [ 編集 ]

take ちゃん、コメントを有り難うございま~~す。今やっとこ青南ブログに今月の歌会報告アップしたところでほっとして「帰宅」した所ですv-290 山形行きはたった1泊なのにまだ東京に帰れませんv-291 
所でtake ちゃんが山形に行かれたのは何時でしたっけ?ブログを探したのですが見つかりません。是非教えてけらっしゃい。
  1. 2012/06/11(月) 22:06:55 |
  2. URL |
  3. 雲 #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

私が山形に行ったのは、2007年10月と2008年11月です。そんなに前だったんですね。けっこう詳しくブログに書き込んでいて自分でもびっくり(^^)
  1. 2012/06/12(火) 01:20:45 |
  2. URL |
  3. take #5RIkxCRk
  4. [ 編集 ]

早速有難う御座いました。
二度も行らしたのですかぁ~~ズルイ!!v-290 ついこの間のように思って探してました。楽しみに拝見します。「おとうさん、おかぁさん」もご一緒でしたね。今回は帰る前日お電話しようと思っていたのですが、「みんな」クタビレテ・・・歳です!こんどにしましょうという事になってしまいましたv-409
  1. 2012/06/12(火) 07:12:30 |
  2. URL |
  3. 雲 #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

一泊の旅行がこんなに素晴らしいブログになるのですね
流石に文学少女の雲さんです。10日間の旅行が5ページで終わってしまう私のHP・・反省しきりです。≦(._.)≧
  1. 2012/06/12(火) 08:24:41 |
  2. URL |
  3. bajiru #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

bajiruさん、コメントを有り難うございます。
bajiruさんのように簡潔に纏める力が無く、
いつまでもずるずると引きずってしまう悪いクセですv-394
  1. 2012/06/12(火) 14:12:11 |
  2. URL |
  3. 雲 #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

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